ぜんざい公社

 インターネットに「47コラム」という記事があります。面白いのでよく読んでいます。全国の新聞社が書いているようです。中国新聞では「天風録」です。今日は西日本新聞の「春秋」にコラムが面白かったので転写しました。

 

「ぜんざい公社」という落語をご存じだろうか。ある男が「ぜんざい公社」の広告を見て「食べてみよう」と訪れるところから始まる。

▼窓口に行くとまず「ぜんざいを食べるのはあなた本人ですか」と確認され、書類を作らされる。その後も健康診断書、餅を入れる許可証、餅を焼く火気使用許可などを求められ、ぜんざいにたどり着けない

 

▼この落語の笑わせどころは「お役所仕事」だ。作られたのは三公社五現業と呼ばれる公共企業体の全盛期だろう。三公社五現業とは専売公社、国鉄、郵政事業などで、「親方日の丸」意識による非効率な経営が問題化。歴代の政権が改革を手掛け、ほとんどが民営化された

 

▼しかし民営化が本当に正解だったのか、と考え込む今日この頃である。郵政事業も民営化され日本郵便やかんぽ生命保険などになったが、両社の保険不正販売問題が深刻化している

 

▼顧客に不利な保険に乗り換えさせたり、保険料を二重払いさせたりと、倫理観の欠如にはあきれる。郵便局や社員に課せられた過剰なノルマが一因との指摘もある。「親方日の丸」ならこんな「営利最優先」の不祥事は逆に起きないはずだ

 

▼落語の話に戻る。ようやくありついたぜんざいが全然甘くない。文句を言う男に公社の職員が「甘い汁はこっちが吸いました」。これは笑える。しかし客を欺いて「甘い汁」を吸い上げるのが民営化なら、笑い事では済まない。                                                     

                              (西日本新聞 春秋)転写

 

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