カポエイラ

 昨日書きました日本の「和紙」と並び、ダンス、武闘、抵抗の象徴、そして文化的な意思表示の場としてブラジル中で最もよく知られている「ホーダ・ジ・カポエィラ」が、ユネスコの、人類の無形文化遺産に登録されました。

 

カポエイラ
 16世紀以来アフリカからブラジルへ奴隷として連れてこられた黒人たちが、主人の虐待から身を護るために、あるいは休み時間に仲間とふざけ会うために編み出した護身術/遊びだと言われています。ただ護身術の練習をカムフラージュするためにダンスのような形態になったのか、もともと遊びだったものが護身術としても用いられるようになったのかはよく分かっていません。

 相手に蹴りや攻撃を当ててしまうものは下手とされ、基本的に相手には触れず、プレッシャーをかけてゆく。そのため、格闘技とダンスの中間に位置するものとも考えられています。(寸止め)

 

特徴

音楽
 他の格闘技などと比較してもっともユニークな点は、楽器の伴奏と歌を伴うという点。なかでも弓のような形をしたビリンバウはカポエイラのシンボルのような楽器。1メートル70センチくらいの棒に針金が一本張ってあり、それに音を共鳴させるためのヒョウタンがくくりつけられているだけというシンプルさ。このほかにもパンデイロ(日本でいうタンバリン)、アタバキ(縦長の太鼓)、アゴゴ、ヘコヘコといった楽器が使われ
 
足技中心 
 技は足技がほとんどで、それらはジンガとよばれる基本ステップの中から繰り出される。手を使うのは防御の最終手段で、普通は体全体をさばいてよける。攻撃も防御も円運動を中心に構成されており、逆立ちや宙返りといったアクロバットも少なくない。

 

冷静さとリズム感
 カポエイラの楽しさは、技のやりとりの中で相手のミスを誘い、スキをつき示していくところ。力の強弱はさほど問題にならない。筋肉もりもりの大男が、か弱い女性に手玉に取られるということが頻繁に起きる。カポエイラは「肉体を使ったチェス」だと喩えられることがあるが、それはまさに頭脳プレーなのだ。上達の秘訣は、冷静な判断力とリズム感といえよう。

 

間接打撃 (寸止め)
 カポエイラでは基本的に技を直接相手に当てることをしない。むしろ技を止められる(コントロールできている)ところがテクニックとして評価される。遊びの要素を多分に持っているため、顔の表情で相手をからかったり、巧みなフェイントで相手を攪乱する技術も大きな見どころ。

 

試合がない
 したがってはっきり勝ち負けをつけることがない。スポーツ化された今日、ポイント制やノックダウン制のトーナメントを行うグループは存在するものの、伝統的にカポエイラには試合という形式がない。したがってホーダ(カポエイラをする円)では何回「負けて」も常にチャンスはなくならない。ここに男も女も子供も大人も一緒に楽しめる秘訣があります。

               ストリートでのカポエイラ

 

サイト内検索

 

キーワードを入れることで、サイト内記事が検索できます。