GTCC

 昨日(10月20日)、テレビを見ていると「ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)」について議論をしていました。原発に変われる発電システムだと言っていました。日本の三菱の技術が最先端を行っているとも話していました。

 そこで「GTCC」について調べてみました。

 

ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)

 天然ガスを燃焼させてその熱風で1つ目のタービンを回し、そのとき出てくる余熱でさらに水を沸騰させて、その蒸気で2つ目のタービンを回す、新しい火力発電の方法です。 

 この方法を使うと二酸化炭素の排出量も格段に少なくなり、燃料として使う天然ガスの量もおもいっきり減らせるので、原発にとって代わる新たな発電技術になるとして、国や企業や「脱原発」を唱える人たちが注目しています。

 

 実際に、このGTCCと現在の原子力発電(原発)を比較してみると、たとえば、発電効率(熱の量を100としたときに何パーセントを電力に変えられるかを示した数字)は、従来の原発の発電効率は30%程度ですが、GTCCは現在最大で約60%のものが
作られており、原発の約2倍の能力をもちます。

 

次に、建設費用はどうかというと、
 原発は施設の建設費からそれを維持して廃炉にするまでの費用がかかるので、すべて計算にいれると1基分で約3000億円かかるそうですが、GTCCは1基をつくるのにたった200億円程度で済むそうです。

 

さらに建設するまでの時間は、
 原発は計画から施工して完成するまで 20年から30年かかるそうですが、GTCCは2~3年という短い工期で完成します。

 

そして、概算では、
 いまの火力発電の8割をこのGTCCに置き換えれば、震災前に稼働していたすべての原発の電力の90%程度をまかなえる計算になるそうです。
 要するにまとめると、原発は無しに出来る。となるそうなのです。

 

 これだけ聞くと、確かにGTCCをこれからフル活用していけば脱原発は十分可能で、むしろコスト面でも環境面でも改善しそうです。
 しかし、現実的にはもちろん色々と問題もあります。たとえば、今はアベノミクスのおかげで円安なので、天然ガスの値段はこれからますます高額になってきます。原発の電力をすべてGTCCでまかなうとすれば、天然ガスはこれまでの1.5倍くらい必要になるそうなので、天然ガスにもっともっとお金をつぎ込まなければなりません。

 

 そこで、「シェールガス」や「メタンハイドレード」が大事な話になってきます。
 シェールガスをアメリカから輸入できるようになれば、天然ガスを安価で購入できるので燃料代の出費が抑えられるかもしれません。

 さらに、日本の海域に眠っているメタンハイドレードが実用化できれば、海外に頼らなくても自国で天然ガスを生産できるので、GTCCを使いたい放題です。

 シェールガスについては、TPP交渉参加と引き換えにアメリカから売ってもらえる流れになっているようだし、メタンハイドレードも経済産業省が積極的に採掘実験をはじめています。これだけ見ると、日本が原発に依存しすぎないでGTCCへ移行する流れがけっこうできているように感じます。

 

 実は、アメリカもシェールガスの発見以降、すでに脱原発の流れになっています。ヨーロッパの主要国も、福島原発の流れを受けて実はほとんどの国が原発廃止を決めています。

 

 そしてこれからほとんどの国が、発電技術は火力発電が主流になっていくと思うので、日本も含めて、これから世界のエネルギー市場は天然ガスが中心になるのは間違いないようです。

 そのときに日本のGTCCの技術が世界をリードできるかどうかが、これからの日本経済のカギだと思うのです。

 

最後に、GTCCの最近の開発状況を書いておきます。
 GTCCは発電効率を上げるために、余熱を有効活用した一口で2度おいしい発電方法であることをすでに述べましたが、60%という世界最高水準の発電効率の実現は、実はGTCCの技術だけが要因ではありません。GTCCを生かすためには、最初のタービンを回したあとに十分にアツアツの余熱を出す必要があるので、天然ガスの燃焼温度は高ければ高いほどいいわけです。

 しかし、タービン自体もあまり熱すぎると耐え切れずにとけてしまいます。このタービンの限界温度は約1600度だそうで、天然ガスの燃焼温度はこの温度よりも低くなければならないことがわかります。そのため、通常天然ガスの燃焼温度は1500度程度が限界だと言われてきました。

 

 ここ数年でこのタービンを冷却する技術が向上し、天然ガスの燃焼温度を1600度以上まで上げることが可能となっています。三菱重工で作られた最新のGTCCではこの高い燃焼温度を実現しており、余熱でタービンを回した後にさらに出た余熱で次のタービンを回し、まだ余熱が残っているので次のタービンを回すという、なんと計4段階のタービンを回す方法で60%以上の発電効率を実現しています。

 

 さらに経済産業省は今年度(25年度)の予算に、GTCCで使う1700度のガスタービン開発計画というのを盛り込んでいます。より高い燃焼温度が実現できれば、さらにタービンをまわして発電効率がさらに上がることが期待できます。

 

 今の日本のGTCCの発電効率は世界の最大水準です。GTCCの技術を向上させてこれからどんどん海外に輸出して、もっと日本の景気がよくなることを祈ります。

 (インターネット wacchiの散歩道HP引用)

 

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