DJポリス

 渋谷駅前のスクランブル交差点では、W杯本戦や予選、新年のカウントダウンなどのイベントのたびに、若者たちがハイタッチを繰り返し、花火や爆竹を鳴らすなどして狂喜乱舞するのが常態化しています。

 一部が電柱や地下鉄の出入り口に上り、周りを扇動するなどしてエスカレート。信号が変わっても交差点を占拠し続けるため、激しい交通渋滞が発生し、地元住民たちからの苦情が絶えませんでした。若者同士がけんかなどのトラブルに発展することも少なくありませんでした。

 警視庁幹部は「いつ、誰が始めたのかはっきり分からない。渋谷駅周辺には、テレビ観戦できるスポーツバーなどが集まっており、口コミで徐々に広まっていったのではないか」と首をかしげています。

 前回の2010年のW杯南アフリカ大会では、日本戦のたびにユニホーム姿の若者たちが集まり、ニッポン・コールを連呼。警視庁の警告に従わなかった数十人が厳重注意されました。02年の日韓大会では、逮捕者が出ました。

 新年のカウントダウンでは、01年1日1日午前0時ごろ、多数の若者が上っていた地下鉄出入り口の屋根が突然、崩落。死傷者が出る事故も起きています。
 そのためサッカーW杯ブラジル大会出場がかかるアジア最終予選のオーストラリア戦が行われる4日夜、警視庁は、東京都渋谷区の渋谷駅周辺で大規模な通行規制を実施しました。

 

【DJポリス】
 サッカー日本代表がW杯出場を決めた4日夜、東京・渋谷のスクランブル交差点で、お祭り騒ぎのサポーターたちをユーモアあふれる話術で誘導した警察官が有名となっています。ネット上では「DJポリス」の愛称で賛辞を贈られており、若者の心をつかみ、トラブルを最小限に抑えた結果が評価されました。

 

「お巡りさんのイエローカードが出る前に、交差点を渡りましょう」――。

 

 サッカー日本代表がワールドカップ(W杯)出場を決めた4日夜、東京・渋谷駅前のスクランブル交差点で歓喜にわく数千人の若者を軽妙な語り口でさばいた警察官に「DJポリス」の名が付いた。インターネット上などで評判になっています。この機動隊員に、警視庁が警視総監賞を授与する方向で検討しているそうです。警視庁幹部は「パフォーマンスそのものではなく、トラブルの抑制に貢献したことが表彰に値する」と話しています。

 

 この警察官は警視庁第9機動隊の20歳代の男性隊員。宮城県出身の独身で、剣道四段。昨年9月から花火大会や初詣などで、群衆をマイクで誘導する広報係になりました。勤務後も数時間の練習を積む努力家で、今年1月にはアナウンス技術の庁内競技会で優勝した逸材です。

 

 指揮官車の上でマイクを握ったのは、4日の試合終了直後。続々と集まる青色ユニホームの若者に「皆さんは12番目の選手。日本代表のようなチームワークでゆっくり進んでください。けがをしては、W杯出場も後味の悪いものになってしまいます」と呼びかけた。

 赤信号に切り替わると、「車を通してください。ドライバーにもサポーターはいます。日本代表はフェアプレーで有名。皆さんもルールとマナーを守ってください」と交差点内に立ち止まらないように誘導した。

 若者らは噴き出したり、男性隊員をカメラで撮影したりと和やかな雰囲気に。江戸川区の女性会社員(29)は「サポーターの喜びに共感しながら呼びかけてくれるので、素直に従おうと思う」と話していました。

 

 

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